(6)女性神話である「麻姑(マゴ)神話」と「バリ姫神話」
神話の主人公の多くは男性です。主に息子が王になる話ですが、韓民族の歴史には、天が送られた息子の話だけではなく、「天の母」を象徴する、天が送られた娘という「女性神話」が語られてきました。代表的な神話が「麻姑神話」と「バリ姫神話」です。
昔、麻姑という大きな女性神がいたといいます。それが麻姑ハルミであり、大きなチマ(スカート)の裾(スソ)で土を運び、それが落ちると島ができたという話です。済州島にはソルムデ・ハルマンという、麻姑ハルミのようなおばあさんが多くの島を創造したという神話が伝わっています。大きなお母さんである「天の母」が宇宙を創造し、生命の起源になったというのです。
この「麻姑ハルミ」の話を通して、韓民族は「天の父」だけでなく、世界を創造した「天の母」がいらっしゃることを語ってきました。
次に「バリ姫神話」です。「麻姑ハルミ」 がおばあさんなら、バリ姫は孝行娘の話です。
バリ姫は、生まれてすぐ父のオグ大王から捨てられました。15、6年たった頃、大王が大病を患いますが、大王と共に宮殿で暮らす6人の娘たちは大王を助けようとしません。し
かしバリ姫は、自分を捨てた大王 (父) を生かすために西域国(あの世)に命懸けで行き、生命水を手に入れ、父を助けたのです。この話こそ、韓民族の「孝情」の神話です。
旧約時代には、父母の心情と一つになって父を救った息子イサクが登場します。 それは、父アブラハムの失敗(象徴献祭)を挽回するため、息子が父と心情一体化する話です。
イサクは、父の心情と一つになることで、アブラハム・イサク・ヤコブの三代が天の血統を復帰してい基台となりました。 イサクが、ある意味でユダヤ民族の歴史において、象徴的な独り子誕生の基台をつくったのと同じく、バリ姫は韓民族の歴史において、自分を捨てた父母を愛したという話なのです。
アダムとエバは、天の愛を一身に受けましたが、 天を裏切りました。 天の愛を一身に受けた彼らが天に
背いたことを復帰するため、父母(神)が自分を捨てたとしても、その父母を愛する基準を立てたバリ姫は、天と地を連結する巫祖神(ムヂョシン)となったというのです。
「麻姑神話」と「バリ姫神話」は、女性が生命の根源として、人間の苦痛を和らげる役割を果たします。
また、創造の始原には「天の父」だけではなく「天の母」もいたことを教えてくれます。男性神話と女性神話は、「真の父母」が顕現した今の時代において、神が「天の父母」としてその両性を現す準備の基台〟と見ることができます。

コメント